「宇宙戦争」放送パニック伝説
オーソン・ウェルズのラジオドラマが「全米パニック」を引き起こしたという有名な逸話は、実は誇張だった。
- 発生年
- 1938年
- 場所
- アメリカ・CBSラジオ
- 分野
- 集団パニック
何が起きたのか
1938年10月30日、オーソン・ウェルズが火星人侵略を題材にしたH・G・ウェルズ原作『宇宙戦争』をニュース速報風に演出したラジオドラマをCBSで放送した。翌日の新聞各紙は「リスナーが実話と誤解しパニックに陥り家を飛び出した」という報道を大々的に行い、この「全米パニック伝説」は長年教科書にも掲載されてきた。しかし実際の視聴率調査会社C.E.フーパーの調査では、当夜CBSのこの番組を聴いていたのは回答者のわずか2%に過ぎず、大規模なパニックが起きたと裏付ける客観的証拠は乏しい。伝説が拡大した背景には、新聞社がラジオという新興メディアの信頼性を貶め競合視していた事情や、放送局・警察に寄せられた少数の問い合わせ電話が誇張して報じられたことがあるとされる。なお1949年にエクアドルのキトで行われた類似の放送では、実際に暴動が発生し死傷者や35万ドル相当の損害が出ている。
豆知識
皮肉なことに「パニックを起こした」という伝説そのものが、メディアによって作られた誇張報道の実例になっている。