810億円タイタニックII、また進水日を発表
オーストラリアの実業家クライブ・パーマーが、約540百万ドル(約810億円)をかけて建造中の豪華客船「タイタニックII」について、新たな進水予定日を発表した。2012年の計画発表から十数年、幾度もの延期を経てなお進んでいるこの計画は、ある意味で原作タイタニックよりしぶとい。
## 発表から13年、計画は終わらない
パーマーが2012年4月にタイタニックIIを発表したとき、世界中が「本気で?」と反応した。原作の沈没から100周年というタイミングの計画発表で、各メディアは揃って困惑した。
当初は2016年の進水を予定していた。ところが2015年、パーマーが経営するクライブ・パーマー・ユナイテッドが深刻な経営危機に陥り、プロジェクトは無期限停止に。一度は「実現しない船」として記憶されかけた。
2018年に建造再開を宣言し「2022年に進水」と再発表。そして今また、新たな日程が示された。計画の延期回数は、実際にこの船に乗りたいと思っている人の数より多いかもしれない。
## 船のスペック: 原作に忠実、安全だけは現代仕様
タイタニックIIの設計は原作にほぼ忠実だ。全長269メートル、乗客2,400名超と乗組員900名を収容できる規模は1912年のオリジナルとほぼ同じ。内装も当時の豪華な様式を再現する予定だ。
ただし、根本的に改良された点が一つある。救命ボートだ。原作タイタニックには乗客全員分の救命ボートがなかった。当時の法規制には合法的に準拠していながら、乗員の半数分しか確保されていなかったのである。今回は全乗客・乗員分が完備される予定。当然といえば当然だが、「前回と何が違うのか」への最低限の答えはこれだろう。
## 予定航路: あえて同じルートで北大西洋横断
計画によれば、タイタニックIIはイギリスのサウサンプトンを出港し、北大西洋を横断してニューヨークへ向かう。原作が辿り、そして辿り切れなかった、まったく同じルートだ。
「大丈夫か」と感じた人は正常な感覚の持ち主である。現代には衛星GPS、リアルタイム気象情報、国際氷海哨戒サービス(アイスパトロール)が存在し、1912年とは比べ物にならない安全環境がある。それでもわざわざ同じ場所を通ろうとする心意気は、骨太なロマンなのか純粋な無謀なのか、判断が難しいところだ。
## なぜ810億円をかけるのか
パーマー本人は「タイタニックは人類の夢と技術の象徴であり、その精神を現代に蘇らせることに意義がある」と語っている。
商業的な側面もある。映画『タイタニック』(1997年)の影響もあり、世界中に熱狂的なファンが存在する。乗船料金は未公表だが、「あのタイタニックに実際に乗れる」という体験への需要は一定数あるはずだ。世界で最も有名な沈んだ船に乗れる——これ以上ニッチなツアー商品はそうそうない。
## 人類の懲りなさという美徳
原作タイタニックの沈没は1912年4月15日。乗船していた2,224人のうち約1,500人が命を落とした、20世紀最大級の海難事故だ。
その悲劇から100年以上が経ち、同じ船を再び作ろうとしている人間がいる。しかも何度計画が止まっても、何年遅れても諦めない。批判も多い。「金の無駄」「センスがない」。しかし考えてみれば、人類の歴史は「やめとけばいいのに」という挑戦の積み重ねでできている。
タイタニックIIが大西洋を渡る日が来るとすれば、その航海はまた世界中のニュースになるだろう。今度こそ、無事に着岸する形で。
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よくある質問
- タイタニックIIの進水・就航はいつになる予定ですか?
- 当初2016年の進水を予定していたが、経営危機や建造停止などで複数回延期されてきた。2026年現在も新たな進水予定日が発表された段階であり、具体的な就航時期は未確定。
- タイタニックIIの乗船料金はいくらですか?
- 2026年時点で乗船料金は未公表。北大西洋横断という特別な体験を提供する豪華客船のため高額になると見られるが、正式な価格発表はまだない。
- タイタニックIIはオリジナルと何が違うのですか?
- 外観や内装は1912年の原作に忠実に再現されるが、安全設備は現代の国際基準に準拠。特に原作で問題となった救命ボートの不足は解消され、全乗客・乗員分が確保される予定。
出典
- Fark.com: Aussie billionaire behind $540m Titanic II issues major update on ship's new launch date and eventual sinking