庭の置物が2000年前のローマ胸像?約6500円で買った夫婦の顛末
英国のある夫婦がチャリティーショップで34.99ポンド(約6,500円)で手に入れた「庭の置物」。15年間、雨風にさらされたその石像が、実は2000年前に作られたローマ時代の貴重な胸像だったことが判明し、世界中のアート関係者を驚かせています。歴史的発見の裏にあったのは、なんとも微笑ましい勘違いだったのでした。
## 35ポンドの「素敵な庭飾り」との出会い
物語の主役は、イギリスのウェスト・サセックスに住むグレゴリー・ハケットさんとその妻フレイアさん。2008年、夫妻は地元のチャリティーショップで、なんとも趣のある石の胸像に目を奪われます。「庭に置いたら素敵じゃない?」。そう考えた夫妻は、34.99ポンドというお手頃価格で即決購入しました。
その日から、胸像は夫妻の家の庭で静かに時を刻み始めます。もちろん、ただの「ガーデンオーナメント」として。雨の日も風の日も、雪が降る日も、胸像はけなげに庭の一角を守り続けました。その姿、まるで古代ローマからタイムスリップしてきた庭師のよう。
## 15年間、苔むすローマ貴婦人
月日は流れ、胸像がハケット家の庭にやってきてから15年。すっかり庭の風景に溶け込んだ胸像には、苔が生え、風化の跡もちらほら。2000年の時を生き延びた美術品が、まさか21世紀のイギリスで苔まみれの余生を送ることになるとは、彫刻のモデルとなったローマ貴婦人も夢にも思わなかったでしょう。
しかし、この放置プレイが、逆に胸像のミステリアスな来歴を隠す格好のカモフラージュになっていたのかもしれません。誰の目にも、それはただの「ちょっと古びた庭の置物」だったのですから。
## きっかけは「これ、金になるんじゃね?」という下心
転機が訪れたのは、夫妻が家の片付けをしていた時でした。ふと、フレイアさんが「この置物、もしかして価値があるんじゃないかしら?」と口にしたのです。その一言で、グレゴリーさんの頭に電球が灯ります。彼は地元の考古学者に連絡を取り、胸像の写真を送ってみることにしました。
結果は、想像をはるかに超えるものでした。写真を見た考古学者は色めき立ち、すぐに専門家による鑑定を手配。そして驚きの事実が明らかになります。この胸像は、紀元1世紀後半から2世紀初頭にかけて作られた、本物のローマ時代の美術品だったのです。専門家によれば、モデルはヘロデ大王の娘か、あるいはその側近の女性である可能性が高いとのこと。その価値、もちろんプライスレスです。
## 胸像の数奇な運命、ナチスからテキサスへ
さらに調査を進めると、この胸像がたどってきた数奇な運命が浮かび上がってきました。もともとはドイツ・アシャッフェンブルクにある「ポンペイアヌム」という、ポンペイの邸宅を再現した博物館に所蔵されていました。しかし第二次世界大戦中、連合軍による空爆で博物館が破壊された際に行方不明に。
戦後の混乱の中、どうやらアメリカ軍兵士の一人がこの胸像をドイツから持ち出し、故郷のテキサス州に持ち帰ったようです。そこから数十年の時を経て、なぜイギリスの片田舎のチャリティーショップに流れ着いたのか。その経緯は今も謎に包まれています。歴史のミッシングリンク、ロマンしかありません。
## 故郷(?)テキサスへおかえりなさい
この胸像は、法的にはドイツのバイエルン州が所有権を持っていました。しかし、その数奇な運命に敬意を表し、最終的には戦後長く保管されていたアメリカ・テキサス州のサンアントニオ美術館に寄贈され、現在はそこで展示されています。夫妻は発見に対する報酬は受け取っていませんが、「この素晴らしい物語の一部になれただけで光栄だ」と語っているそうです。
あなたの家の物置や、近所のリサイクルショップにも、とんでもないお宝が眠っている可能性はゼロではありません。次にガラクタ市を訪れるときは、少しだけ鑑定家気取りで品定めをしてみてはいかがでしょうか。もしかしたら、歴史を揺るがす大発見が、あなたを待っているかもしれませんよ。
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出典
- Daily Mail: a couple bought a priceless Roman bust for just £35 from a local charity shop to use as a garden ornament - only to find out it was 2,000 years old